大阪の五ツ星お米マイスター『れいこ』のブログ

大阪市都島区のこだわりのお米屋さん&お酒屋さんに嫁いだ子育中のオカン れいこが、お米のあれこれを綴ります

「もち米」と「うるち米」とみりんの関係

こんばんは。五ツ星お米マイスターのれいこです。

f:id:reicome:20180416134342j:plain

先日、「龍の瞳」というお米でできた本みりんをいただいてから、あれやこれや大人の自由研究を続けております(*´꒳`*)。↑今朝は娘を送り出してから、ずっと気になっていたボンボンの試作をしてみたり

f:id:reicome:20180416135109j:plain

きのうは、夕食をつくる合間に生キャラメル(冷やす時間を除けば10分で完成!)をつくってみたり。そんな中、ふと思ったんです。この味わいは何かに似ている...。みりんを煮詰めた味ってキャラメルに例えられることが多いけど...もっと似た何か。その答えがきょう、ボンボンの中に詰めようと煮詰めていたみりんで降りてきました。

f:id:reicome:20180416164716j:plain

「じろ飴!!!」

「じろ飴」とは、180余年の歴史をもつ石川県 金沢で一番古いあめ屋 俵屋さんがつくられる水飴のお名前。たまたま、今年のお正月に家族で旅行したお土産で買って帰ったのですが、みたらしのタレのような香りとコクを仄かに感じるあの味わいがどことなく似ている気がして。そこで納得がいきました。俵屋さんの水飴は良質のお米と麦芽でつくられたもの。
www.ame-tawaraya.co.jp

麦芽糖とも呼ばれる水飴は、砂糖がまだまだ貴重で特別な人たちしか口にできなかった時代に、麦芽酵素を利用してお米のでんぷんを甘い糖に変えて使われていた穀物由来の庶民の甘味料でした。でんぷんを甘い糖に変えることを少し難しいことばで「糖化」と呼ぶのですが、この糖化に昔の人は気づいていたんです。これってほんと凄いことですよね!

で…もう、お気づきかもしれませんね。そうです。みりんもお米の糖化を利用してつくられています。

kokonoe.co.jp

ただし、お米を糖化させるのは麦芽酵素ではなく、麹の力!本みりんは、蒸したお米に麹菌(麦、大豆などの穀物にコウジカビなどの食品発酵に有効なカビを中心にした微生物を繁殖させたもの)をふりかけてつくった米麹と掛け米、醸造用のアルコール(龍の瞳 本みりんは 醸造用に米焼酎が使われています)でつくるのですから、アルコールを飛ばしながら煮詰めれば、水飴に似たものができるのも当然ですよね。

えへへ。遠回りしましたが、いろんな点が繋がったのが嬉しくて、きょうはちょっぴりテンション高めです(๑˃̵ᴗ˂̵)。


さて、糖化のお話が出たところで、先日「龍の瞳 本みりん」のお話をブログでさせていただいた時に、いろんな新商品やご当地の銘菓を愛らしい短文でご紹介されているkingk-sr01さんから(kingk-sr01さんのブログはコチラ↓)

kingk-monokoto.hatenablog.com
  


「もち米とうるち米でみりんに種類があること、初めて知りました…作るのが難しい?ということですか?」


と、いうご質問をいただきました。「龍の瞳 本みりん」に使われているお米「龍の瞳」は飯米ともいわれるうるち米で、このみりんをつくられている九重味醂さんは、うるち米からこのみりんをつくった際の技術で特許を取られた。と、いうお話からいただいたご質問(詳しくはコチラ↓)

reicome.hatenablog.com

せっかくの機会なので直接お聞きしてみようと、実は九重味醂さんにお電話で質問をさせていただきました。

kokonoe.co.jp

 

「特許を取られたとお聞きしたのですが、どの点が一番難しかったのですか?」

 


研究担当の方が聞かせてくださったお話によると、元来、もち米を使って本みりんをつくるのは、お米をきれいに糖化させることができるからだそうなんです。裏を返せば、うるち米には糖化できない...もしくは糖化しにくい成分が含まれいるということ。

これはお米の勉強をするときに頻繁に出てくるでんぷんの成分「アミロペクチン」と「アミロース」の関係に由来するのですが、もち米は「アミロペクチン」100%に対して、うるち米には2割程度の「アミロース」が含まれています。このアミロースは一般的といわれる本みりんの作り方では糖化ができないため、うるち米でみりんをつくると甘みに欠けた味の薄いみりんになっていたのだとか。

九重味醂さんは「龍の瞳 本みりん」で、このアミロースを糖化する技術を研究の末に見つけられたそうで、その技術で特許を取られたそうなんです。なるほど!それで、うるち米でも美味しくいただけるみりんができたのですね。

九重味醂さん、丁寧にお教えいただきまして本当にありがとうございました。そして、kingk-sr01さん、ご質問ありがとうございました。とっても勉強になりました╰(*´︶`*)╯♡


ちなみに...アミロペクチンアミロースの関係は、新品種といわれるお米でも美味しさを追求する上で、たくさんの試験場や研究所で研究されています。例えば、アミロースが少ないとモチモチっとしたお米になるのですが、その代表格ともいえるお米がマツコ・デラックスさんのCMでもおなじみの「ゆめぴりか」だったりするんですよ

www.youtube.com
きょうはお話ししたいことが多すぎて、すっかり長くなってしまって。最後までお付き合いいただいた皆さま、お読みいただいて、ありがとうございました!

さてさて、きょうも夜な夜な自由研究に勤しみます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶